焼き鳥と言ったら豚バラ!?福岡だけの常識なぜこうなった?
殿堂
文化

焼き鳥ひとつください」
そう言って、出てきた串が“豚肉”だったら——あなたは驚くでしょうか?
でも、ここ福岡では、それがごく当たり前の光景です。
「焼き鳥=豚バラ」。
しかも、塩をふってカリッと焼かれた肉厚の豚バラに、キャベツを添えて酢ダレでいただくスタイル。これが、地元っ子の“いつもの焼き鳥”なんです。
なぜ鶏じゃなくて「豚バラ」なの?
福岡の焼き鳥文化は、戦後の屋台時代に根を張りました。
とにかく「安くて、旨くて、腹にたまるもの」が重視された時代、脂が乗ってジューシーな豚バラはまさに屋台向き。鶏肉よりも安価で手に入りやすかったこともあり、自然と“主役”の座を射止めていったのです。
さらに、福岡では「焼き鳥」という言葉そのものが、“鶏肉”という意味よりも、“串に刺して焼いたもの”という広い意味で使われています。
だから、豚でも牛でも、時には野菜でも「焼き鳥」と呼ばれる——この自由さも福岡らしい一面かもしれません。
豚バラ+キャベツ+酢ダレ=無限ループ
もうひとつ、福岡の焼き鳥屋さんで定番なのが、キャベツ食べ放題。
お皿にどっさり盛られたキャベツに、さっぱりとした酢ダレをかけ、それを豚バラと一緒に頬張る。脂の旨味と酢の酸味、シャキシャキ感がたまらないんです。
そして、これが焼酎とベストマッチ。
焼酎のすっきりした味わいが、豚バラの脂をリセットしてくれて、ついついもう一本、もう一杯と進んでしまう。
この“無限ループ”を体験したら、あなたもきっと福岡焼き鳥の虜になるはず。
福岡の「焼き鳥」は、文化そのもの
観光で訪れた人の中には、「鶏がない焼き鳥?」と戸惑う方もいます。
でも、地元の人にとってはそれが当たり前。
「焼き鳥といえば、まず豚バラ」
この地に根ざした焼き鳥文化は、まさに“福岡の味”そのものなのです。
そしてこの文化は、決して高級じゃないけれど、誰もが肩肘張らずに楽しめる、庶民の誇り。
そんな福岡の焼き鳥屋には、今日も誰かの物語が、ひっそりと串に刺さっているのかもしれません。
出典・参考
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